法要について

ここでは亡くなられた方を弔(ともら)う儀式、法要についてご説明させていただきます。

故人を供養する事の大切さは皆さん、ご承知のことと思います。
実際、どう弔ったらいいかとか、法事・法要は何の為に行っているのかは案外、ご存じない人も多いのかもしれません。
ここでは禅宗の教義に則る形ではございますが、そのお話を簡単にさせて頂こうかと思います。




十王信仰(じゅうおうしんこう)

人が亡くなると10の王(十王)によりその人は生前の裁きを受けます。
その教えを十王信仰と言います。
裁きは王それぞれにより10回あり、初七日~三回忌の10のタイミングがその当日となりますので、故人の裁きが少しでも軽くなるように残された我々はその十王ではなく、菩薩・如来に祈りを捧げます。
これが法要を行う理由です。


追善法要(ついぜんほうよう)

皆様がよく耳にされます初七日~四十九日法要は数えると計7回あります。
故人はこの7回で先の十王の内、7の王から裁きを受けることになります。
1回ごとの期間は7日。
ですので、我々はその日に合わせて法要を行い菩薩・如来に祈ります。
これが四十九日までの法要です。
では具体的に故人は何をしているのでしょうか。
以下から、そのお話をさせて頂きます。


・初七日法要(しょなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた7日後に行うのが初七日法要です。

亡くなられた方は険しい山を歩き、最初の裁判官、泰広王(しんこうおう)に会いに行き、最初の裁きを受けます。
ですから、この日に現世で我々は故人が良い裁きが下されるよう、不動明王(ふどうみょうおう)にすがり、お祈りします。

なお、初七日~四十九日までの道すがら、故人は香を食べるとされておりますので、道中、食に困らぬように特に法事の時、現世で我々は線香を炊きます。


※現代ではお葬式の日にこの初七日法要を営む事が多くあります。


・二七日法要(ふたなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた14日後に行うのが二七日法要です。

山を越えると三途の川があり、罪の軽い人は橋の上を、罪の重い人は罪の重さに従って浅瀬か濁流を渡る事になります。
この際、川の渡し賃として六文掛かります。
その為、棺桶の中に六文銭を入れる習慣が出来ました。
川を渡り終えると故人は初江王(しょこうおう)に殺生行為の有無を裁かれます。
この裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は釈迦如来(しゃかにょらい)にお祈りします。


・三七日法要(みなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた21日後に行うのが三七日法要です。

この日、故人は宋帝王(そうていおう)から猫と蛇を使った不貞行為の罪の裁きを受けます。
現世ではこの裁きが軽くなるように我々は文殊菩薩(もうじゅぼさつ)にお祈りします。


・四七日法要(よなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた28日後に行うのが四七日法要です。

この日、故人は伍官王(ごかんおう)から生前の言動を秤に乗せられ裁かれます。
裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は普賢菩薩(ふげんぼさつ)にお祈りします。


・五七日法要(いつなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた35日後に行うのが五七日法要です。

この日、故人は閻魔王(えんまおう)から裁きを受けます。
水晶で出来た鏡を使い、故人の悪行を写し出し、嘘をつく者の舌を鬼に抜かせるよう命じます。
そして、閻魔大王は故人の生まれ変わる先を決定します。
裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は地蔵菩薩(じぞうぼさつ)にお祈りします。


・六七日法要(むなぬかほうよう)
人が亡くなられましたその日を加えた42日後に行うのが六七日法要です。

この日、故人は先の伍官王と閻魔王の報告を受けた変成王(へんじょおう)によって、生まれ変わる為の条件や場所を決定されます。
この決定が少しでも良くなるよう軽くなるよう我々は弥勒菩薩(みろくぼさつ)にお祈りします。


・七七日法要(しちなぬかほうよう)=四十九日法要
人が亡くなられましたその日を加えた49日後に行うのが七七日法要です。

この日、故人にはいままでの裁判の結果から泰山王(たいざんおう)が最終決定が下されます。
その決定により故人は中陰の世界を去り、天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道へ行くことになります。
この裁判がある事から四十九日は重要視されます。
この日、現世の我々はより良い決定がなされるように薬師如来(やくしにょらい)にお祈りします。



以上が四十九日までの話となります。
円昌寺にはございませんが、展示場などのある大きなお寺だと四十九日までの風景の描いた掛け軸を見かけますので、ご覧になられた方もあるかもしれませんね。
次からは四十九日以降の法要の話です。


・百ヶ日法要(ひゃっかにちほうよう)=卒哭忌(そっこくき)
人が亡くなられましたその日を加えた100日後に行うのが百ヶ日法要です。

この日、故人は平等王(びょうどうおう)から生前の言動を秤に乗せられ裁かれます。
裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は観音菩薩(かんのんぼさつ)にお祈りします。

また、百ヶ日法要は別名、卒哭忌(そっこくき)とも言い、哭(なげき)から卒業する時期に行う法要です。
この日を境に遺族は悲しみに一区切りし、日常に戻る節目とされております。


とは言え、個人的にですが、一区切りと言われてもそんなに簡単に割り切れるものではないですよね……。


・一周忌法要(いっしゅうきほうよう)
故人が亡くなられてから一年目に行われるのが一周忌法要です。


この日、故人は都市王(としおう)から裁きを受けます。
裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は勢至菩薩(せいしぼさつ)にお祈りします。

また、古来より亡くなられた人が出来た場合、一年間はその人を悼み、身を慎む習わしがあります。
その期間を忌喪(きふく)や喪中(もちゅう)期間と言います。
亡くなられてからの一年後のこの日はこの喪の状態が明ける大切な日になりますので、その区切りと共に故人の冥福を祈り、この日に法事を行います。


・三回忌法要(さんかいきほうよう)
故人が亡くなられて、満二年目に行うのが三回忌法要です。
よく混乱しがちですが、二年目が三回忌ですのでご注意ください。
現代ではその当日を0と考え、その次を1と考えるのが一般的ですが、昔の日本では当日を1としましたので、二年目が三回忌となります。
ですので、一年目は回忌ではなく、周忌と表現します。
※以降、法事はこの回忌の計算になりますのでご注意ください。

この日、故人は五道転輪王(ごどうてんりんおう)から裁きを受けます。
裁きが軽くなるように現世ではこの日、我々は阿弥陀如来(あみだにょらい)にお祈りします。



このように初七日から三回忌までは故人を弔う上で重要な意味合いを持っておりますので、可能ならばこの日に合わせ、法要をするのが宜しいのではないでしょうか。


・以降の供養とそれ以外の供養
以降、十三回忌や十七回忌など3と7の付く回忌年と五十回忌、百回忌が大きな法事の区切りとされております。

また、これらの節目の供養の他にも故人の亡くなられた日にちに合わせて毎月行う月参り(つきまいり)や、先の13回忌などにあたらない年でも亡くなった月日に合わせて行う祥月命日供養(しょうつきめいにちくよう)などをおこなう方もみえます。
勿論、僧侶を呼ばないまでも毎日、仏壇に手を合わせることは素晴らしいことだと思いますので、是非、やってあげてください。



年忌早見表

下に大きな年忌みではございますが早見表を作りましたので、法事の目安にして頂ければと思います。